15年のキャリアを手に、私が再出発を選んだ理由
私が今の職場に出会ったのは、40代を過ぎてからのことでした。 当時は独身ということもあり、将来への不安から「とにかくパート以上の収入を」と必死だったのを覚えています。
経理の経験は10年以上ありましたが、いわゆる「限定的な業務」しか担当しておらず、自分のスキルには全く自信がありませんでした。
ハローワークにも通いましたが、この年齢になると正社員採用の道は想像以上に厳しく、何社も面接で落とされる日々。そこで、時給や勤務時間の条件が良かった「派遣会社」に望みを託すことにしたのです。
3〜4社を渡り歩いて見えた「理想と現実」
しかし、派遣に登録してからも、すぐに今の場所に落ち着いたわけではありません。
派遣社員というと、私たちの若い時代は「専門知識を持った人がそれを武器に、高い時給で即戦力として働く」という認識でした。なので、経理歴10年以上とはいえ限定的な業務経験しかない自分が、果たして通用するのだろうか……という不安を抱えていました。
でも、意外と採用してくれるところはあったのです。
そうしてこれまでに3〜4社の現場を経験しました。どれも数ヶ月単位の「期間限定」の仕事が多く、契約が終わるたびに次を探す不安定な日々。「次こそは、腰を据えて長く働ける場所を見つけたい」と思っていたときのことです。
ダメ元で挑んだ、少し変わった面接
面接に臨んだとき、実は1週間後に採用してもらえそうな派遣の仕事を1件確保していました。
ただ、その仕事は半年限定。契約が終わればまたゼロから次を探さねばならず、次の職場が決まるまでの空白期間(アイドルタイム)が生じてしまいます。
それがどうしても嫌で、「できれば長期で安定して働ける場所はないか」と探していたとき、たまたまWEBで見つけたのが今の会社でした。勤務場所も勤務時間も時給も私の希望にほぼぴったり。でも、これだけ条件が良いと若い応募者も多いだろうなと、ダメ元でエントリーしたのでした。
実際の面接では、すでに1件決まりそうな職場があったこともあり、私は不思議とあまり緊張していませんでした。
数ヶ月前に受けた面接では面接官が5人もいて、「派遣の面接なのに大ごとだな……」と感じたこともあります。だいたい2〜3人の面接官に派遣会社の担当者と自分、というのが平均的な印象でした。しかし、今の会社の面接官は一人だけで、私より少し若い方でした。
良くも悪くも面接慣れしてしまっていた私は、自分なりに丁寧に出す言葉を選んで臨んでいたつもりです。ですが、後からその上司(面接官だった方)に、
「あの時、全然緊張していなかったよね。すごく落ち着き払っていたよ(笑)」
と言われることになります。
担当する業務はそれほど難しいものではなく、親会社と子会社の経理を担当してもらうけれど、わからないところは教えるので私の経歴なら大丈夫だろう、ということでした。私としても「受かればラッキー」程度に思っていたため、リラックスして臨めたのが逆に良かったのかもしれません。
「とりあえず」で飛び込んだ、急すぎる採用
会社側もかなり急いでいたようで、面接が終わると「明日から(あるいは明後日から)」来てほしいという急ぎの依頼。
私の方も「合わなければまた次を探せばいい」という、今思えば少し軽めな気持ちで引き受けることにしたのが本音でした。
わずか数日の引き継ぎと、不穏な空気
仕事は、退職される正社員の方からの引き継ぎから始まりました。
用意されていた引き継ぎ期間は、前任者の有休消化の関係もあり、実質たったの4日間。必死にノートを真っ黒にしながら業務を頭に叩き込みましたが、それ以上に気になったのは、職場の異様な「空気」でした。
前任の方は私より年上でしたが、他部署から転籍してきたばかりの「経理1年目」の方。不慣れな業務に苦戦しているのは明らかでしたが、それ以上に、上司が彼女に対してあからさまに非好意的なのが伝わってきたのです。
特に、彼女が上司に質問をした際の「返事の仕方」が、あまりにも冷やかでした。
詳しい事情は分かりません。それでも、教えを乞う部下を突き放すようなその態度を見て、胸がざわつきました。
前任の方は「経理業務がしんどい」とおっしゃっていましたが、辞められる本当の理由は「人間関係」なのだと、容易に察することができました。
「この上司の下で、私はやっていけるのだろうか……」
入った瞬間に感じた、あの不安な予感。あのときの胸のざわつきは、今もはっきり覚えています。
それでも私は、気づけば15年、同じデスクで電卓を叩いています。
なぜ辞めなかったのか。そこには、私なりの“折り合いのつけ方”がありました。



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