【第3話】「経理の孤独。放置される私と、ターゲットにされた先輩派遣の涙」

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放置される私と、勇気を出した先輩を待ち受けていた厳しい現実

異業種からの挑戦と「ノート」という名の命綱

新しい職場は、特定の通信機器を販売する会社でした。 親会社と子会社が入り混じるオフィスで私の担当は子会社の経理。同じ事務所に、私にアドバイスをくれた「先輩派遣」もいましたが、担当の店舗も会計システムも異なるため、実務で頼ることはできません。

引き継ぎ期間はわずか4日間。40代で異業種の経理に入るということは、即戦力を期待されるということ。「分かりません」は、できるだけ言いたくありませんでした。 「一度教わったことは、二度と聞いてはいけない」 そんな自分なりの固定観念があった私は、真っ黒に書き込まれたノートだけを頼りに、一人もくもくと伝票に向き合いました。

放置される私、修行中の若手正社員

事務所には、上司(上司A)と、その下で働く新卒数年目の若手正社員(正社員A)がいました。 二人はいつも忙しそうで、残業も多く、ピリピリとした空気が漂っています。

子会社担当の私は、良くも悪くも「放置」されていました。時折、通りすがりの正社員Aから「そこ、違いますよ」と指摘される程度。 「これで合っているのかな……」 そんな不安を抱えながら、間違えていれば注意され、なければ進む。綱渡りのような毎日でした。

豹変した先輩と、隠されていた悩み

入社して2ヶ月ほど経った頃。 いつも明るく落ち着いていた「先輩派遣」に、どこか元気がなくなっていることに気づきました。

ある日の帰り道、彼女が一人で通っているという場所に誘われ、そこで思いがけない本音を聞くことになります。 彼女はこの会社に入る前、正社員として長く働いてきたベテランでしたが、実は経理の実務経験は浅く、密かに深い悩みを抱えていたのです。

「正社員Aさんから、きつく当たられていて……」

あんなに冷静に私を励ましてくれた彼女が、今にも折れそうな声で漏らした告白。 私の目から見ても、正社員Aが彼女にだけ厳しく接している場面はありましたが、まさかこれほど追い詰められていたとは思いもしませんでした。

「いじめの構図」の矛先

彼女の上には正社員Aがおり、さらにその上には上司Aがいます。 「上司Aと正社員A、二人の指示がそれぞれ違う。でも、それを上司Aに伝えたら、正社員Aに悪いから言えない」

真面目すぎる彼女の優しさが、完全に裏目に出ていました。 私が「一度、上司Aに相談してみたら?」とアドバイスし、彼女も勇気を出して面談に臨みました。一時は「相談してよかった」と明るい顔を見せた彼女でしたが、現実は残酷でした。

状況は、何ひとつ変わらなかったのです。 それどころか、上司Aまでもが彼女を低く評価するようになり、風当たりはさらに強まっていく。

その光景を見ていて、私は確信しました。 「あぁ、これは……いなくなってしまった『前任者』の代わりに、彼女が新しいターゲットにされてしまったんだ」誰かが辞めると、空いた場所に別の誰かが立たされる。

問題は、人が変わっても構図が変わらないことでした。

忙しさのあまりストレスが溜まっていたと思われるであろう上司Aと正社員A。そのはけ口が口答えしない先輩派遣にむけられているのではないかと感じざるをえませんでした。

放置されている私と、じわじわと追い詰められていく彼女。 ますます私はこの会社で続けていくことを不安に思うのでした。

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